互い
あやつはどこにいてもすぐにわかる。まぁ、あのやたらと目立つあの赤髪のせいといったらそうかもしれぬが、それだけではない。あやつの周りには人が集まるのだ。
ほれ、見ろ。今日も中庭が騒がしいと思ったら特進クラスの奴らが集まって何やら話し込んでいる。話している内容は少し離れているここでは知ることは適わぬが、ときおり野次や歓声などが聞こえる。その中心にいるのが恋次だ。でかい図体をして身振り手振りで話す姿は遠目でも十分に面白い。お、何やらうけたようだな。皆が笑っている。珍しく吉良殿が真っ赤になって怒っておるぞ、さてはあやつにからかわれたのか?ふふ、何とも平和な光景だな。
………それにしも、楽しそうだな。あやつ。
てめーはどこにいてもすぐにわかるんだよ。小さいくせに、やたらと目立ちやがって。
ほら見ろ。うちのクラスの男共が数人、校舎内を熱心に眺めてやがる。その視線の先を追うと…、ちっ。やっぱりな。前と違ってしっかりと食ってるはずなのに、相変わらずほせー体しやがってよ。ったく、おめーにその大荷物は無理だ。ちゃんと断れよ。って、何引き受けてんだよ!!馬鹿か?てめー。
むぅ、講師に次の講義の教材を押し付けられてしまった…。まったく、これは恋次のせいだ!あやつの声が無駄にでかいせいでつい聞こえると立ち止まってしまう。それで姿を探すとたいてい…。
ん?何なのだ、この凹んだ気持ちは!違う、違うからなっ、絶っっっ対に違うぞ!!!別にかまって貰えなくて寂しいとか、隣で笑えなくてつまらんとか、絶対に思っておらんからな!!!!!!
大体、私は静かなほうが好きなのだ。それなのにあやつときたらすぐに騒音を巻き散らかすのだから、たまったものではない!…うむ、そうか。そういうことだったのだ。それが長年続いていたせいで慣れていたのだ。それで、その慣れた音が最近聞こえなくなったから少しばかり気になったに違いない。よし。よく考えたらせいせいしてきたぞ!
さて、さっさとこの荷物を運んでしまうか。いつまでもここに立っていては阿呆みたいだ。
…それにしても、重いな。………重いし、長すぎるぞ!引きずらなくては進めんではないか!!
あー、あー、あー、あー。相変わらず不器用な奴だな。んでもって、一つのことをやり出すと周りが見えてねぇ。ったく、ちっと周りを見れば手伝いたそーにしてる奴らがいるだろーが。そんくらい気付け。馬鹿が。
…にしても、大丈夫かよ?あんなヨタヨタしやがって。講堂行くにゃあ、階段2つ上らなきゃなんねーんだ。どうやってもって上がるつもりだよ。って、考えるまでもねぇ。あいつの事だ。どうせ馬鹿正直に一人で必死に運ぼうとするんだろうな。無理に決まってんのによ。まぁ、そこまでしてりゃ、誰か声かけんだろ。特に見かけに騙された馬鹿な男が、な。
………ったく、何なんだ?さっきからやたらイライラすんな!クソ。ここは戌吊じゃねぇんだ、あいつ一人にしたって問題ねぇはずだろうが!!んで、誰と話していようと心配もいらねぇ!!!ん?戌吊???あ、そうか。餓鬼の頃からの習慣がまだ抜けてねぇのか、俺。まぁ、当たり前といやぁ当たり前か。少しはぐれるだけで、文字通り命取りだったからな。…はぁ、仕方ねぇなぁ。誰かに手伝ってもらう前にテメーが教材と一緒に階段から落っこちて、頭割ったりしても寝覚めが悪ぃしな。昔のよしみで今回は助けてやらぁ。感謝しろよ?ルキア。
「なーにやってんだ、テメーは!おら、とっとと寄越せ」
「恋次…。急になんなのだ」
「手伝ってやるっつってんだよ。さっさと寄越せ。…へ、何だぁ。えらくヨタヨタしてやがるから、どんだけ重てぇのかと思ったら、大した事ねぇじゃねぇか。こんくらいも持てねぇのかよ」
「な…何だとっ!貴様が余計な事をするまでは一人で立派に運んでおったわ!!」
「ほー。それは随分とご立派で。俺には教材を必死に引きずっているようにしか見えなかったけどなぁ」
「それは、少し…その教材が長かっただけだっ!重さ自体は別に大した事はない!!もうよい、返せ!!!」
「てめーに任せたら、講義が終わっちまうっての。っと、おい。この教室でいーのか?」
「…………………………………………………(渋々)うむ」
「んー。そうだな、氷でいーぜ」
「貴様。たかる気か」
「正当な報酬だろーが」
「別に頼んではおらん!………悪いが、今は持ち合わせておらんのでな。後でよいか?」
「ああ、構わねぇよ。じゃ、いつもの所」
「わかっている。仕度は早めにしろ、貴様は男のくせに長すぎるぞ」
「てめーが気にしなさ過ぎるんだよっ!てか、男子寮のほうが遠いんだから仕方ねぇだろう!!」
「冗談だ。では、また後でな。恋次」
「ああ、ルキア。また後で」
一発、スピード勝負!前半は頭の中。後半は会話のみで!!…状況伝わってますかね?(や、無理だろ!)
日常の一コマ。時期的には入学してから数ヶ月たったくらいですか?
こういう事を毎日のようにやっていたらいいなー。
この後、カキ氷を食べにいきますが(ルキアは宇治金時。恋次は練乳。イメージッス)お金はもちろん恋次が払います。ええ、女に支払いをさせるような男じゃありませんよ!
待ち合わせ場所が女子寮寄りなのは、別れる時も同じ場所だから。
ええ、ルキアを長い距離一人で歩かせるようなマネは絶対しません!!
女子寮の門が見えるギリギリの位置で待ち合わせして、ルキアが門に入るのを見届けてから帰るんです!!!
と、いう脳内妄想から作りました。
お粗末。
[18.1.29]